「あー……」



網はまたしても金魚をすくう前に大きな穴を開けた。



「がははっ! 全然だめじゃねーか!」


「うるせー!」



雄馬はムキになってさらに100円を取り出し、網と交換する。


それに続いて優も網を購入し、2人は再び挑む。


だけどやっぱり上手くいかない。


それを何度か繰り返した後、2人は不満を爆発させた。



「この網、薄すぎるんじゃねーか!?」


「おじさんなかなかアコギな商売してるね」


「おいおいガキ共! 自分の腕の無さを棚に上げてんじゃねーぞ」



むき出しにされた腕の太さ、白いタンクトップの上からでも分かる程の胸板。


おっちゃんはかなり体格がいい。


そのおっちゃんが小学生2人を交互に睨み、さすがの2人もたじろいだ。



「仕方ねーなぁ〜……」



おっちゃんはスキンヘッドの頭をポリポリ掻きながら、網をひとつ持った。