画面には『夢子』と表示されていた。


私は鳴り響くコール音に慌てて、通話をタップする。


『もしもし?』


『もしもし!?美桜?』


『うっ…うん…』


受話器を通して聞こえる、夢子の少し高めの大きな声が、数日顔を合わせてなかったせいか少し懐かしく感じた。


『もう風邪治ったの?』


『うん。もう元気だよ!』


『そっか!良かったー!電話も繋がらないし、メールは返ってこないしかなり心配したんだから!!』


少し夢子の口調が強くなる。


本当に心配していてくれたようで、少し胸が熱くなった。


女の子から自分のことを気遣ってもらうなんて、私には初めての経験だ。


すごく、嬉しい。


『ごめんね…。ありがとう』


『まぁ、美桜が元気になったならいいけどね!てかさ、今から外出てくることってできる?』


『えっ?何で?』


急に話が飛んで、思わず笑ってしまった。


夢子の話っていつもこんな感じだ。


真剣に仕事の話を話していたかと思ったら、急にお菓子の話になったりする時もあった。