松阪○○○劇団の最終公演から三年が経った。



アニメーション映画が完成して放映されてからは、原作者として何度か取材も受けた。

その後は人気作家にはなっているとは言い難いが、それでもそれなりの作家と言ってもいいのではないかと思う。



三年の間に様々なことがあった。



僕とつぐみは最終公演から半年後に一度だけ大喧嘩をした。

そのことで別れそうになったところを、たくさんの人に手助けしてもらい、仲を寄り戻した。

そして、今から二年前に僕たちは家族になった。



上越は懸命のリハビリを経て、無事に競艇選手に復帰した。

当初は恐怖心からか、以前のようなレースが出来ずに成績も上がらなかったが、それも見事に克服して、今では女子のなかではトップクラスの実力選手となっている。

もちろん、人気もトップクラスだ。


「まさか、あの二人が結婚するとはな」


そして、今日、僕たちは園木と沢良木の結婚式へと招待されている。



一度振られた園木は、その後も諦めずに沢良木を想い続け、四度目の告白でようやく想いが叶った。

付き合いさえすれば、園木の良さは沢良木に十分過ぎるほど伝わってようで、それが今日へと繋がったわけだ。



松阪○○○劇団は『あきらめられない夢に』を最終公演として、多くの人に惜しまれつつ長い歴史に幕を閉じだ。



しかし、新たな歴史が創られた。



拠点を松阪から伊勢へと移動し、新たに『伊勢○○○劇団』として活動を開始したのだ。

団長は父から受け継ぐ形でつぐみがなり、舞台に立たなくなった彼女の変わりに看板女優を務めているのが沢良木だ。