翌朝はスッキリした目覚めとはいかなかった。

しとしとと朝から降り続く雨までが、私の気分を滅入らせる。




それでも寮生さん達に心配はかけたくないから、どうにか体を起こして顔を洗い、いつもの眼鏡をかけて食堂に降りて行った。



もし秦野君がいたら、借りていた本を返そうと思って食堂に持参したけど、食堂には一さんしかいなかった。


……あんまり大勢ががやがや集まってるのも気疲れしそうだったから、一さんだけでラッキーかも知れない。



「おはよう、紗凪ちゃん。調子はもう良いの?」

「おはようございます。お陰さまで、もう大丈夫です」



にこやかに笑う一さんに、私も笑顔を返して朝食のトレイを受け取った。