「よかったな」 岩石先輩の声が頭上で聞こえる。 あたしは、コクンと頷いて、ハンカチで涙を拭ってから先輩を見上げて微笑んだ。 先輩はあたしの目元を指でぬぐい、「ひどい顔」と笑う。 あたしも”ひどい顔“で笑った。 田尾くんと日高先輩の表情は分からないけれど、きっと、笑ってるんじゃないかな。 さっきと話す時の声が違うから、そう思った。 オレンジ色の温かい色に包まれて生まれた、先輩と後輩の友情。