「今、裏門から出ていったよ」


やっぱり、今日も来てたんだ。


先輩の様子を見たから、もう帰ったのかな……。


「神村。大丈夫か? 体、痛かった?」


先輩があたしの肩に手を置いて、心配そうに見下ろす。


あたしはまだ赤いであろう顔を見られないように、前髪を整えながら「大丈夫です」と答える。


先輩は「急に悪かったな」と、ポンポンとあたしの頭を撫でた。


あたしは下を俯き、唇を噛みしめながらぎこちなく頷く。


何だか急にさおりに対して罪悪感が生まれた。


あたしが先輩に特別な気持ちを抱いてるわけじゃないけど、何だかさおりに悪い気がして。


今日、さおりも誘えばよかったかな……。