「そうだったんだ……」


月曜日の昼食時間、あたしの席の前に座ってお弁当を食べるさおりに田尾くんのことを話した。


どう行動を起こすべきか、自分ひとりでは考えられなかったから。


さおりは卵焼きをフォークに刺してパクリと食べると、一旦お弁当を机の上に置き、「うーん」と考え込む。


「今の田尾くんの心の中は、きっと超複雑なんだろうね」


さおりの言葉に、あたしも食べていたサンドウィッチを机の上に置いて頷く。


「またバスケをやりたいって気持ちはあるのかな?」


「あると思うよ。だって田尾くん、”やらない“じゃなくて、”やれない”って感じだったもん」


あたし、田尾くんが先輩の学校にわざわざ様子を見に行ってるのは、またバスケを始めるタイミングを見計らっているようにとれたの。


直接先輩に会いに行けないのは、また自分の心が傷つくのが怖いだけだと思う。