「おー、お疲れ~!!」
突然、体育館の入り口から男子の声が聞こえ、すぐに田尾くんが反応した。
「きゃっ!!」
田尾くんはサッと体育館に顔を向けると、急いであたしの腕を引き、近くの水道に身を屈め隠れた。
あたしの体に覆いかぶさるようにして、田尾くんが大きな体を丸めている。
ド、ド、ド、ド、ド。
あまりの近さに、鼓動が早鐘を打つ。
「た、田尾くん……」
いきなり何が起こったのか混乱して声を出す。
「シッ!! 静かに」
田尾くんはあたしに小さな声で言ったあと、更に体を丸め、グイッと距離がより一層近くなる。
……なに?
なんで隠れるの?
「みんなお疲れ~!! 水分ちゃんと取れよ~」
休憩なのか、どんどん体育館側が騒がしくなった。
田尾くんは周りの声で状況を探るように、神経を研ぎ澄ましているように感じる。
隠れるってことは、まさか……。



