「……あ」


部活終了後、トボトボと家路を歩いていたら、目の前から田尾くんのお姉さんが歩いてきたので、あたしはピタリと立ち止まった。


お姉さんもあたしに気づき、小さく頭を下げて立ち止まる。


「あ、えーと、名前……」


お姉さんは窺うようにあたしに言い、眉を上げた。


「あ、すみません! あたし自己紹介もまだしてなかったですよね」


あたしが慌てて言うと、お姉さんは「ううん」と顔の前で両手を振った。


6時半過ぎの薄暗い中なのに、ぼんやり浮かぶ色白のお姉さんはとても美人だった。


「神村 美海って言います! バスケ部のマネージャーです!」


あたしはスクールバックが肩から落ちないように手で押さえ、深く頭を下げた。


「マネージャーだったんだね」


「はい!」


あたしが笑って答えると、お姉さんはキュッと口角を横に上げた。