はぁ……。


諦めるべきなのかな……。田尾くんを入部させること……。


今いるメンバーで大会を目指して、自分たちで活気づけていくしかないんだよね……。


ポン……。


突然頭に優しい感触があって、あたしは先輩を見上げる。


「そんな落ちこむなって」


あたしの頭に手を乗せる先輩が、柔らかく微笑んでいる。


「バスケ部の為に一生懸命動いてくれてるおまえの気持ち、俺ちゃんとわかってるから」


「……先輩」


先輩はこうやって人が落ちこんでるといつも癒しの言葉をかけてくれるんだ。


普段アホっぽくて何も考えてなさそうな人なのに、人の心の細かい変化にすぐ気づく。


だから先輩は、男女問わず人気があるんだ。


「お? 泣いてんの?」


先輩がグッと腰を折ってあたしの顔を覗き込んでくる。


少しうるっときたけど、泣いてませんと頬を膨らませる。


先輩は面白半分であたしの目元を拭い、ハハハと爽やかに声を上げて笑った。



「……あ」