「ミニ先輩に仕事を頼む時は、必ず俺の許可を取ってからにして下さいね」


田尾くんは拗ねた子供みたいに口を尖らせる。


やっぱり、最近の田尾くんは、ただの可愛い子供だ。


どこも大人びていなかった。


「はいはい。みんなアップ開始~」


岩石先輩は、田尾くんの言葉に呆れるように手を叩いて練習モードに入る。


みんな田尾くんのことは相手にしてない。


部活を始めようと、バラバラと散らばって行く。


あたしは、田尾くんも早くアップしに行ってと、コートを顎で指す。


田尾くんは、行きたくなさそうにシュンと眉を垂らしたけど、あたしに背中を押され2,3歩進んだ。


だけどすぐにクルリと振り返る。


そして、あたしの頭を引きよせ、軽くおでこにキスしてきた。