「……え、うん。なんで?」
言いながら靴箱から出ようと歩きだすと、同じように田尾くんもついてきた。
「え?なに?あたしに用事?」
入り口で立ち止まって体を引きながら聞く。
すると、二度目の豪快なため息が彼から聞こえ、余計に体を引いてしまう。
あたしをギロリと睨みつけてきた田尾くんは、グッと腰を折って、あたしに顔を近づけてきた。
ドックンっ……。
ゴクリ、とつばを飲み込んだ。
……え。
本当に、なに?
「ちょ……、なに?みんな、見て……」
あたしと田尾くんのあまりの顔の近さに、靴箱から出てくるみんなの視線が集まって、あたしは体を硬直させたまま目だけをキョロキョロと動かした。
「別に?罰ゲーム。ミニ先輩がどれだけ耐えられるか」
「は?罰ゲーム?何の?ちょ、いいから離れてよ!!」
あたしは田尾くんの体を押して、少しの距離を保った。
じゃなきゃ、緊張で吐く息が震えているのがバレてしまうから。