「先輩の泣き顔、結構酷いんで」


「……なっ!?」


田尾くんの優しい眼差しに感動していたのに、やっぱり彼の口からは嫌味しか出てこない。


「酷いって……。わ、悪かったわね!! どーせあたしは不細工ですよ」


あたしは右頬をピクピクとけいれんさせた。


すると、田尾くんはプッと吹き出して、口元に手の甲を当てる。


「誰も不細工とは言ってませんよ」


「言ってんじゃん!!酷いっていうのも不細工だって言ってんのと同じでしょ?もう知らない!!」


あたしは田尾くんを追い越して、大股で歩いた。


「先輩、とりあえず顔洗ってきた方がいいっすよ」


後ろから田尾くんの笑い声がする。


「わかってます」


あたしは言葉にスタッカートを付けて田尾くんを振り返る。


「先輩ちっさ」