4人の友人に囲まれた田尾くんが出てきて、あたし達は壁と一体化して息を殺す。
「悪い。今日どうしても外せない用事あって」
口角を少し上げて答える田尾くん。
「えー!!」と残念がる友達に、「また月曜な」とクールに片手を上げ見送ったあと、ズボンのポケットからスマホを取り出した。
時間を確認したのかすぐにスマホをズボンにしまい、オレンジ色に染まりつつある空を眩しそうに見上げる。
今日は天気がいいからか、田尾くんがとても輝いて見えた。
白いシャツは肘まで捲りあげていて、襟足の長い黒髪が風に揺れている。
両手をポケットに突っ込み、田尾くんは歩き始めた。
すぐさまあたし達も後を追い、バレないような距離を保つ。
彼とあたし達の間に何人かの生徒がいる為、会話は聞こえないはず。
でも用心して、あたし達は耳元で囁き合った。
「ねぇ」
さおりがあたしの耳に口を近づけてくる。
「外せない用事って、何だと思う?」
あたしはさおりを見上げて「さぁ」と首を傾げる。



