でも……。


先輩の辛い表情を見たくない。


だからと言って、返事を先延ばしにしてもお互いいいことはない。


どうしよう……。


クシャ。


あたしの葛藤に気づいたのか、先輩があたしの頭を撫でた。


何も言わなかったけれど、あたしを慰めているように感じた。


先輩……。


もう、あたしからの返事はわかってるんでしょ?


それなのに、そんなに優しい表情であたしに微笑まないでください。


あたしはどうしたらいいのかわからなくて、辛いです。


あたしは、先輩が静かに去って行く背中をただ見送った。


“急にごめん。いや、急じゃない。ずっと、いつ言おういつ言おうって悩んでたんだ”


いつから……?


先輩は、いつからあたしをそんな風に想ってくれてたの?


田尾くんの事に必死になり過ぎて、全く気づかなかった。


ごめんなさい。


あたし、先輩を何度も傷つけていたかもしれません。


本当に、ごめんなさい……。