「返事は、今すぐじゃなくていいから」


「…………」


「突然で驚いただろ?ごめんな」


だ、ダメだよ……。


ダメだよ。


先輩があたしのことが好きだなんて。


嘘でしょ?


さおりがいるのに……。


さおりは、先輩のことが大好きなのに……。


そんな……。


「これ、サンキューな。大切にする」


先輩は、小さく微笑んで紙袋を上に持ち上げた。


風に吹かれた先輩の前髪。


木々の隙間から差し込む夕日にまだらに照らされた、先輩の顔。


少し頬を赤らめて、あたしに優しい頬笑みを向けている。


ギューッと、胸が締め付けれた。


どうしたらいい?


どんな顔して、さおりと会ったらいい?


先輩から告白をされたなんて、言えるわけがない。


先輩には悪いけど、もう返事は決まってる。


今すぐ言うべき?