ポン……。


数学の授業中、ぼんやり授業を聞いていたら頭に何かがぶつかり、それが机の上に落ちてきた。


4つに折られた、ノートの切れ端だ。


あたしは一旦黒板に向かう先生に視線を向け、バレないように身を屈めて紙を開く。


『元気だして! 諦めるのは美海らしくないよ!』


紙に書かれていたメッセージを確認して、あたしはすぐに、2つ斜め後ろに座るさおりを振り返った。


さおりはニッと笑い、あたしにガッツポーズをする。


田尾くんを体育館に無理矢理引っ張って行ってから3日。


あれから全く彼と会うことはない。


あたしが会いに行けばいつでも会えるのに、あの日、田尾くんが体育館から去って行く背中を見たら、何だかもう誘えなくなった。


“もう来るな“


そう、彼の背中が言っていたんだ。