「え?うん」


「じゃ、俺の手が汚れたお詫びにつきあって下さい。俺もまだ何にも見て回ってないので」


「はぁ?自分で汚したのに、なんであたしのせいみたいになってるの?」


「知らないっすよ。早く!」


田尾くんは食べ終わった容器をあたしに持たせると、ひとり先に校舎の方に歩いて行った。


なんて自己中な後輩。


偉ぶってみたり、子供っぽい表情をしてみたり。


もう本当に、彼から目が離せない。


これから、田尾くんと一緒に行動できるの?


夢みたいだ。


走って田尾くんのあとを追って校舎に入ると、またワッと騒がしくなる。


でもそれでいいんだ。


静かだと、あたしの鼓動がバレてしまうから。


最高の思い出に残る文化祭になるといいな。