田尾くんは指で口元を確認すると、口の端をクイッとあげ目を細めた。


そして、田尾くんはたこ焼きのフタについていたソースを指に付けてそれをそのままあたしの鼻につけてきた。


「ククククッ。先輩の鼻、たこ焼きみたい」


手の甲で口元を隠して、笑いを堪える田尾くん。


あたしも負けじと、田尾くんの頬にソースをつけてやった。


「うっわ!!最悪」


自分からしてきたくせに、仕返しをされると不機嫌になるなんてまだまだ子供だね。


あたしは勝ち誇ったようにフンと笑うと、田尾くんはあたしから容器を奪い取り一気に残りにたこ焼きを頬張った。


さっきまで手を汚したくないとか言ってたのに、何なの?


「あ~、うまかった」


「結局、手汚れてんじゃん」


「ミニ先輩も、顔汚れてますよ」


本当だよ。


田尾くんのせいでベタベタで気持ち悪いし!!


「あぁあ、また洗わないといけないし」


ソースのついた指を舐めると、あたしに視線を向けた。


「先輩、まだ文化祭回ってないんでしょ?」