田尾くん……何が言いたいの?

結局、参加したくなかっただけでしょ?


元々注目されるのが嫌いなんだから……。


「みんなで一緒に色々見て回った方が楽しいし」


「みんなで……?」


みんなでって言うことは……あたしも一緒に……。


「文化祭初めての俺の為に、色々案内してくだいよ。ミニ先輩」


グッと目が見開いた。


優しい……。

田尾くんの、あたしを見る目が……。


なんで……?

ケガしてるから……?


だからそんなに優しいの……?


なんか、いつもと違う……。


「ほら。もう終わりましたよ?体育館に戻りましょう」


「う、うん」


早鐘を打つ心臓を抑えながら椅子から立ち上がり、保健室を出る田尾くんのあとを追う。


優しく見えたのは、柔らかく差し込んだ夕日のせい?


それとも、彼のどんな表情も愛おしく思う、あたしの気持ちのせい?



今年の文化祭は、幸せな一日になりそうだ。