「えー、なんか反応薄い。もうちょっと楽しんでもよさそうなのに。初めての文化祭じゃん。可愛くない1年生」


あたしが目を細めると、田尾くんは「はいはい」と首を回しながら立ち上がり、ボールを取って、ドリブルをついた。


「田尾、話聞いてやれって。神村、去年参加出来なくて超悔しそうだったんだから」


会話に入って来たのは、日野先輩だ。


あの一件以来、まだ少しぎこちなさは残るものの少しずつ話すようになっている。


「悔しそう?そんなリア充になりたいんすか?」


呆れたように鼻で笑う田尾くん。


「べ、別に?」


あたしは顎をツンと突き出して、顔を背ける。


去年はただ、初めての文化祭でこんな企画あるの知って、楽しそうだって思っただけ……。


だけど今年は、田尾くんがいるから……。


田尾くんとふたりで参加できたらいいなって……。