わざとらしく『ありがとうございます』を強調して言い、あたしの顔を覗き込んでくる。 「ミニじゃなくて美海!!」 早歩きをしながら噛みつく勢いで田尾くんに言う。 そうじゃないと、この鼓動を聞かれてしまうから。 田尾くんはケラケラと笑いながら、まだあたしの後についてくる。 夜空の星が、田尾くんの笑い声と同じタイミングで光ったり消えたりする。 素直になんて、当分なれそうにない。