「ククク……」


「おい……神村も笑い過ぎ」


あたしが肩で笑っていると、先輩は唇を動かし悔しそうにしていた。


「あの」


あたし達のくだらないやり取りに、帰ろうとしていた田尾くんが振り返る。


「俺、バスケ部入る気ないんで。何度来てもムダっすよ」


一重の切れ長の目。


別に怒ってるわけではないんだろうけど、どうしても睨まれてるように感じる。


田尾くんは無表情で少し頭を下げると、そのまま教室を出て行ってしまった。


『俺、バスケ部入る気ないんで』


なんで……?

そんなにバスケが嫌い?


嫌いなら、無理矢理入れてもすぐ辞められそうだしな。


それなら部活に誘う意味ないし……。


彼、本当に入る気ないのかな……。


もったいないな。


あんなにキレイなフォームでシュートが打てるのに……。