「それがマネージャーの仕事でしょ? ミニ先輩」


逆光に隠れる田尾くんの微笑み。


ドクンドクンドクンドクンドクン……。


あまりよく見えないのに、心臓が痛いくらいに高鳴った。


「俺、こういう性格なんで、先輩との衝突はしょっちゅうあると思いますけど」


田尾くんはそこで言葉を区切ると、あたしの方へ歩いてきた。


「俺なりのバスケ、やっていいでしょ? ミニ先輩」


あたしの目の前で、柔らかく微笑んだ。


田尾くんにこんなに間近で微笑まれると、体の動きがとれなくなる。


ただただ、首を縦に振るだけ。


『特別なんでしょ』


急にさおりの言葉が頭をよぎって、ひとり赤面する。


熱を持った頬を見られないようにサッと俯くと、田尾くんはドリブルを打ちながら先に歩いて行った。