ポンとあたしの肩に手を乗せて言ってきたさおりにすぐに反論したけど、徐々に語尾が小さくなっていった。


そんなあたしを見て、またさおりがニヤける。


「……さおりだって、岩石先輩のこと、好きなんでしょ」


さおり”だって“って……。


自分で言っておきながら引っ掛かった。


“だって“なんて……まるであたしが田尾くんを好きみたいな言い方じゃん。


あたしは別に好きなわけじゃ……。


「好きだよ」


……え?


あたしはサッと勢いよくさおり見る。


「好きだよ、先輩のこと」


さおりは恥ずかしがることなく、ニッコリ笑った。


……うん。


さおりが先輩のこと好きなんじゃないかなって、前から感づいてはいたよ?


だから、今のは当たり前の返事だったんだけど……。


素直に『好き』って言われたことに、ちょっと驚いた。


あたしも、そんなに驚かなくてもいいのに……。