いつも
私はベッドの上でしか
自由が無かった。
心臓病の私は
歩くのも許されなかった。
けど、今夜
私は自由になる。
ペタ・・・ペタ・・・・
静まったこね病院の階段を
私は一歩一歩
進んで行った。
「ハァハァ・・・・」
息が苦しい・・・・・・
普段歩かない私の体には
階段を上るのでさえ
酷く疲れる。
ガチャ・・・・・・・
冬の冷たい風が
私の汗を一気に冷やしていく。
「さむ・・・・」
体を震わせ私は裸足の足で
フェンスに近付く。
カシャン・・・・・
フェンスに手をかざす。
これを登れば自由になれる。
きっと、
あの世は綺麗なんだろうな・・・
「私は、自由に・・・・・生まれ変わるよ・・・・・・」
フェンスを乗り越え私は
腕を広げる。