「めんどうだったからです」



そう言って、仁斗の手を振り払い、屋上
から出た。



「……高嶺の花、ねぇ……」



仁斗がそう呟いてることも、知らぬまま














ガラッ、とドアを開けると、一瞬にして
静かになる。



そして痛いほど向けられる視線。



男子からは好奇の眼差し。

女子からは憎悪の眼差し。



私、美作麗は、ここ、玉露(ぎょくろ)
高校に通う一年生。



そして私には、中学生の頃から、「高嶺
の花」だなんてあだ名を、男子につけら
れている。