まるで絶対王政なこの世界。



雅の言うことに、逆らえる人なんて誰も
居ない。



「……調べなくていい」



だから俺は、調べない。


雅が、そう望むのだから。



「ていうか雅、なんで麗ちゃんを姫にし
たのー?ずっと姫なんて、作らなかった
くせにー」



ふわふわの赤髪を揺らして、コテン、と
首を傾げる春希。



そんな春希に、雅は微かに笑った。



「───さあ、な」



そんな曖昧な雅の返答に、春希が不満そ
うに唇を尖らせる。



雅は、自分の内側をあまり見せないから




俺らの事は、なんでも知ってるくせに。



やがて、資料室には、俺と雅だけになっ
た。