俺を探るように笑みを浮かべながら、そ
う訊いてくる仁斗。



「……さぁ?何も、知らないよ」



まだ。───そんな言葉は、胸の奥に留
めた。



麗ちゃんが俺らを裏切ることがない限り
、調べたりはしない。



過去を知られたくない思いが、強く、痛
く共感出来るから。



過去が今の彼女を作り上げたのなら、そ
れを壊すつもりはない。



ああ、でも───と、雅を見る。



何を考えているのか、俺でさえもわから
ない。いや、誰にもわからないであろう
、俺らの総長。



今何を考えているのか。



───十中八九、麗ちゃんの事だろうけ
ど。



「雅、一応、調べとく?」



でも、彼が調べろ、と言うのなら。


俺は調べる。───それが、俺に与えら
れた唯一の選択肢だから。