そう微笑めば、安堵の色を浮かべる麗ち
ゃん。



そして少し目を伏せて、



「……わかった。なるわよ、姫に」



彼女は俺の期待通りの言葉をくれた。



「話がわかるみたいで良かったよ。あり
がとうね、麗ちゃん」



そう言うと、麗ちゃんはまた、無機質そ
うに冷えきった瞳に戻って、俺を見た。



それからゆっくりと立ち上がって、ドア
へと向かう。



「どこ行くの?姫」



そう訊いた仁斗に、「授業」とだけ短く
答えた麗ちゃんは、そのまま資料室を後
にした。



「……つか、なんだアイツ。あんなに姫
にならねぇって、頑固だったクセに」



納得がいかない、というように吐き捨て
る悠。



「類はもう知ってるんじゃないのー?姫
のこと」