そう言おうとした言葉は、不意に、手首
をぎゅ、と誰かに掴まれたことで、喉の
奥へと消えて行った。



思わず、小さく叫んでしまいそうになる
のをどうにか抑えて、そちらを見上げる
と、少し眉間に皺を寄せながら、雅がこ
ちらを見ていた。



「え、あの……」


「……拒否権なんて、無いんだけど」



いきなりそう言われて、思わず、はぁ?
と無遠慮な声が出てしまった。



「何が」


「だから、お前は姫にならなきゃいけな
いんだよ。……ならない、なんて選択肢
はない」



……なにそれ。


あまりにも傲慢な言い分に、半ば呆れ気
味の私だったけど、雅の目が真剣だった
から、それ以上は言い返さなかった。



「……姫は、なにをすればいいの」



ぽそりと呟くようにそう言えば、雅の眉
間の皺が薄くなった。