真っ暗な闇と同じくらいに黒い雅なのに
、闇に溶け込むことはせず、むしろ昼間
よりも存在感を放っている。



「類が呼び出すなんて珍しいな。何かあ
ったのか?」



この場合の"何か"は、他の暴走族に動き
があったのかどうか、ということだ。



だけど俺は、そんな雅に少し笑った。



「俺、麗ちゃんのこと好きになっちゃっ
た」



そう言うと、それまで総長の目だった雅
が、スッと"男"の目になった。



「……そうか」

「ね、麗ちゃんのこと奪ってもいい?」



ニッコリと笑いながらそうきくと、雅も
クスリと笑った。



「奪えるもんなら、奪ってみろよ」



……余裕だなあ。


麗ちゃんの心は、まだ誰にも傾いてない
のに。



もう少し焦ってくれてもいいのに。