そう言って、類を抱き締めると、類の身
体が僅かに強張った。



「無理して笑うなんて、やめてよ」



ぎゅ、と類にしがみつく。



ここで離したら、類との距離が大きくな
って、もう二度と近付けない気がした。



皆が私を助けてくれたみたいに、私だっ
て、皆を助けたいの。



すると、ふいに腰に、類の腕が回ってき
て、そのまま強く、抱き寄せられた。



「麗ちゃんは……俺の計算を容赦なく崩
してくるよね。計算通りにいかなくて、
困るんだよ……」

「……類?」

「ね、麗ちゃん。ちょっとした昔話を、
してもいいかな」



そう言った類の声は、震えていた。







.