肉体的なストレス発散にはなっても、精
神が安らぐ訳じゃなかった。
だけど、麗ちゃんの存在が──好きな人
、というその存在が、悠の心の拠り所に
なってくれるなら、それでいい。
「ねえ、雅」
俺がそう声をかけると、雅がチラリと俺
を見上げた。
「何だ?」
「……いいの?」
少し首を傾げながらそう訊くと、雅は訳
がわからない、といったように眉を寄せ
た。
「なんのことだよ」
だから、そんな雅の耳に口元を寄せ、そ
っと囁く。
「悠の感情には、気付いてるんでしょ?
」
悠が麗ちゃんをどういう風に、どんな対
象として見てるのか、雅ならもう、知っ
てるハズでしょ?


