今だって、脅そうと思えば脅せる。
万一の時のために、雅以外の龍牙メンバ
ーの弱みは見つけてある。つかう機会な
んてないとは思うし、別に皆を信用して
ないとかじゃないけど、一応。
念には念を、だ。
「怖くないわよ。むしろ信頼してる。…
…だって何かあったら、助けてくれるし
ね」
「そりゃあ……」
そりゃあ、雅の姫だから。
そう言おうとして、言葉を止めた。不意
に、脳内に小さな疑問が生まれたから。
──本当に、それだけか?
雅の"姫"だから、守る。──そんな義務
的なモノなのか?
守りたいから、失いたくないから、守る
んじゃないのか?
なんで守りたい?
なんで失いたくない?


