──祭りは、電車で二駅隣の所で行われ
ていた。
ホームに降り立つと、浴衣姿の人でごっ
た返していた。
「この浴衣姿の人たち、皆祭りに行くの
かしら……」
「ま、そうだろうな」
じゃなきゃわざわざ浴衣なんて着ねーだ
ろうし。
「とりあえず、屋台見て回るか」
「うん」
そういえば、こんな祭りに来たのなんか
、何年ぶりだろうか。
記憶にあんのは、小学生の頃。
空と二人で、親父の目を盗んで来たのが
、最後だったっけ。
「懐かしいなぁ」
ふと、そんな声が聞こえてきて、心の声
が漏れたのかと焦った。
しかし、それを呟いたのはどうやら麗ら
しかった。


