雅に抱きつくようにしがみつき、ボーッ
と流れる風景を見ていたら、だんだんと
バイクが減速しているのがわかった。
そしてついたのは、どこかの大きな倉庫
。
「着いたぞ」
そう言われて、雅は私をバイクから降ろ
して、ヘルメットを外してくれた。
……さっきも思ったんだけど、雅、細い
のに力凄いよね。だって軽々と私のこと
抱き上げちゃうし……。
あの細い腕のどこにそんな力があるんだ
ろう……。ていうか、ここどこなんだろ
。
キョロキョロと辺りを見回すけど、やっ
ぱり見覚えはなくて。
「ねえ、ここ、なんなの?」
そう訊くと、雅は切れ長の瞳をこちらに
向けて、「倉庫」と言った。
……それは、見ればわかるけども。
「行くぞ」


