「はぐれたら困んだろ。いいから、手ぇ
出せっつの」
「あ、はぐれないように手を繋いでくれ
るってこと?でも私、そこまでおっちょ
こちょいじゃない……」
「いいから」
麗の言葉を遮って、麗の手を拐うように
掴んだ。
柔らかい、女の子らしい手。
ただ手に触れただけだっていうのに、胸
が破裂しそうなくらい苦しい。
「これくらい、許せよ」
せっかくの二人きりなんだから。
「許せよって……?」
「っだー! なんだっていいだろ!行く
ぞ!」
夜で良かった、と思った。
だって、熱くなった顔を、見られないで
済むから。


