麗の番号もアドレスも、紅蓮に麗が連れ
ていかれたあの日から、しっかりとメモ
リに入っている。
まあ、メールなんてめったにしねーけど
。
「あとさ、このこと、誰にも言わねーど
いてくんねぇ?」
「え?」
「明日の夏祭りは、二人で行くから」
二人で"行きたい"から、とまで言えるほ
どの勇気は俺には無かった。
麗は特にその事を気にする素振りもなく
、一度頷くと、春希の方へと行ってしま
った。
そんな麗の後ろ姿を見つめていたら。
「なに話してたの?麗ちゃんと」
突然、そんな声とともに、隣に類が座っ
てきた。
タイミングのいい登場と台詞に、思わず
ギクッと心臓が震える。


