せっかく二人きりだったのに、なんて春
希を恨めしく思う。
「今いく」
そう言って立ち上がった麗の手首を思わ
ず掴んで、引き止めた。
麗が、少し驚いたように俺を見る。
「あ、あのよ……」
「うん?」
「……夏祭り、行かねぇ?」
俺がそう言うと、夏祭り?と反芻する麗
。俺はといえば、たった一言言うだけで
、緊張から喉がカラカラになっていた。
「そう。明日の夜あんだけど……」
「別にいいわよ?」
その返答に、ホッと胸を撫で下ろす。
「明日、何時頃、どこにいればいい?」
「あー……それはあとでメールするわ」
「わかった」


