どうしようか。後ろから抱きつけって事
だよね……。
いくらなんでも、見知らぬ……いや、見
知らないわけでもないけど、ほとんど他
人のような人に抱きつくのは憚れる、と
いうか。
どうしようとおどおどしていると、見か
ねた雅が、グイッと私の腕を引き寄せ、
自身の腰まわりに巻き付けた。
「……っ!」
「怪我したくねーなら、掴まっとけ」
そして私の返事もきかずに、走り出すバ
イク。
本当は走り出したら腕の力を緩めようと
思ったけど、そんなことは無理だと思っ
た。
だって、思ったよりもすごいスピードで
、ほんとに何かにしがみつかないと、落
とされるんじゃないかって恐怖に襲われ
るし。
高速で動いてるバイクから落とされても
平気で居られるほど、強靭でもない。
だから、今だけ、と思いながら、腕に力
を込めた。


