髪が乱れることもいとわず、俺のもとへ
と走ってきた麗に、なんともいえないも
どかしい感情がわき上がる。
俺はこの感情がなんなのかを、知ってい
る。
「どうしたんだよ。今日はやけに興奮し
てんじゃん」
「そ、そりゃそうよ!ずっとあのあとの
事が気になって仕方なかったんだから」
当たり前でしょ、という麗に、「なら、
毎日でもここに来ればいいのに」と言い
そうになった言葉を、飲み込んだ。
そんなの、俺だけじゃなくて皆そう思っ
てる。
だけどそうしないのは、毎日ここにバイ
クで連れてくることで、麗の身体に負担
がかかってしまうことを懸念してるから
。
あまり身体が強いとは言えない麗に、無
理はさせられなかった。
「で、そのあと、どうだったの?」
そう言いながら、俺の隣に座る麗。
俺は、あのあとの事を、話し出した。