「ごめん……俺が、弱くて。本当は、た
った一人の母親を失ったお前たちに、つ
いててやるべきだったのに、何も考えた
くなかった俺は、そのあともひたすら仕
事に没頭してたよ」
お前たちに……?
空に、の間違いじゃねーのかよ。
「あんたが心配してんのは、空だろ。俺
の事なんかどうでもいいくせに、よくも
そんな白々しい嘘を──」
「そんなわけないだろう!」
急に怒ったように声を張り上げた親父。
俺は不覚にもびっくりしてしまって、思
わず目を見開いた。
「自分の息子をどうでも良いだなんて思
う親が居ると思うのか?」
「少なくとも、今までの俺に対する態度
を振り返ればそうなんじゃねーの?」
「……本当にどうでも良かったら、注意
なんてしない。お前が何をしてたって咎
めないさ。関心が無いんだから」
自嘲的な笑みを浮かべながらそう言う親
父。


