そんな親父の反応に、怪訝そうに首を傾
げた時。
「──やめてください」
凛とした声が、俺を庇うように聞こえて
きた。
「……麗?」
「やめてください。悠のこと、そんな風
に言わないで下さい」
そう親父を真っ直ぐ見つめながら言った
のは麗で、それまで俺の横にいたはずの
麗は、いつの間にか俺の前に立っていた
。
俺よりも小さくて華奢な背中。
だけどその直向きな姿勢が、何故かすご
くたくましく思えた。
「君は……?」
「私は、美作麗と言います。悠と貴方が
どんな想いを抱いているのかなんて、私
にはわからない。だけど、悠のことを、
悪く言うのはやめてください」
すると、親父の目がカッと見開かれる。


