そのせいで春希に、「今日はなんかご機
嫌だねー」とニコニコしながら言われた
くらいだ。
しばらくソファーに座っていると、外か
らバイクの排気音が聞こえてきた。
それに気付いた類が立ち上がり、チラリ
とドアの方に視線を配らせる。
「来たんじゃない?麗ちゃん」
すると、しばらくしてから、麗と仁斗が
入ってきた。
今日も相変わらず、夏だというのにベタ
つかず、サラサラとした黒髪を靡かせて
いる。
麗は入ってくると、俺達を見つけ、少し
照れ臭そうに微笑んだ。
「……おはよう、皆」
そう言った麗に、類も春希も、雅でさえ
も微笑み返して、「おはよう」と言った
。
だけど俺は、素直じゃないから。


