「──いい加減にして下さい、お父さん 」 いつもよりも低い声で親父を制したのは 、空。 俺自身、こんなにも低い、怒ったような 空の声を聞くのは初めてだったから、驚 いてしまった。 「空……?」 狼狽える親父に、空は真っ直ぐと視線を 合わせる。 揺るぎないその瞳が、すごくカッコいい と思った。 「兄ちゃんは……俺の大切な、この世で たった一人の兄なんです」 空はそう言うと、「兄ちゃん、行こう」 と言って俺の手を引っ張った。 「……ごめんな、空」 外に出ると、俺はそう言って空に謝った 。