そう言いながら空の頭を撫でてやると、
空は嬉しそうに笑った。
「兄ちゃんの料理なんて久しぶりだね。
楽しみだな」
「たいしたものは作れねーけどな」
そう笑いながら、冷蔵庫に手を伸ばした
とき。
──ガチャン……。
と、玄関が開く音が聞こえてきて、サッ
と空が顔を強張らせた。
俺はただ、何も気にしてないようなふり
をして冷蔵庫を漁る。
どうやら、あの男が帰ってきたらしい。
「空、上行ってろよ」
「っでも……!」
「俺と居ると、怒られんぞ」
親父は俺と空が仲良しなことをよく思っ
てない。兄弟の仲違いを望むなんて、ど
んな親だよって思うけど。
不良の俺とつるんでたら、空まで影響さ
れそうで怖いんだろ。


