「……怖いの」
ふと、ポツリ、と声を落とした麗。
その声が、やけに耳に残った。
何かに縋るような、だけど、拒絶するよ
うな声。
「怖いの。貴方達を信じて……また裏切
られて、傷付くのが、怖い。本当はわか
ってる。皆がすごくいい人だって事。だ
けど怖い……。心を許すのが、怖いの」
震えながらそう言う麗。
ああもうマジで、すげーもどかしい。
とっとと麗の過去を暴いて、そこから救
ってやりてぇ。
だけどそんな風に思う自分が、ガラじゃ
なくて恥ずかしい。
あんなに麗がムカついてしょうがなかっ
たくせに、なんでこんなにも、守りたい
、なんて思うんだよ。
泣いてるアイツを、抱き締めたい、なん
て──……。