「さすが獅童。あの人数を、もうやっつ
けちゃったんだ」
「麗を返せ」
ニヤリと余裕そうな笑みを浮かべる目の
前の男に、雅はただ、そう伝えた。
ふと、麗に目をやると、何故かその瞳は
不安定に揺れていた。
それは、興奮と期待を含むような……だ
けどとても、悲痛そうに。
めったに動くことのない麗の感情が、そ
の瞳に晒されていることに、俺は妙な違
和感を覚えた。
どうして。どうして、麗は。
そんなに怯えるように、俺達を見るんだ
──……?
「俺が誰か知ってるか?」
くすんだ金髪の男が、そう言う。
「紅蓮のボスの、龍ヶ崎(りゅうがざき
)だろ」


