翌日。



嫌な予感というものは当たるもので。



雑音もなにもない教室で、彼の声が、私
を呼んだ。



「───美作麗。来い」



───それは、ほんの10分前の出来事
だった。



いつもと同じように家を出て、いつもと
同じ時間に学校に着き。



読みかけだった小説を開き、その文面を
目で辿っていたら、やけに周りが騒がし
いこのに気づき。



なにかあったのかと顔を上げれば、女子
も男子も皆、同じ方向を向いてるから、
そちらを向けば、教室のドアの所に、雅
が立っていた。



そして、雅が口を開いた瞬間、息苦しい
ほどの静寂に包まれて、ピン、と空気が
張り詰める。



全員が、息を呑んだのがわかった。



そして彼はあろうことか、私の名前を呼
んだのだ。